Japanese
English
日本看護倫理学会第11回年次大会 教育講演
ケアの倫理の源流へ:個からグローバルへ
Towards a source of care ethics: From the individual to the global
岡野 八代
1
1同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科
pp.107-108
発行日 2019年3月20日
Published Date 2019/3/20
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
本講演では、年次大会長を務められた高田早苗教授のご講演「エマンシパトリー・ノーイング」から示唆を得て、1)政治思想史における、女性排除と「ケア」排除、2)ケアの倫理の源流へ:「解放」を中心に、3)ケアの倫理、その政治性:「個」から、グローバルへ、という三つの観点から、ケアの倫理とフェミニズムの解放思想とのつながりについて論じた。
まず、高田教授の講演では、現在の日本社会における看護をめぐる矛盾、すなわち、一方で、高度専門教育を受けた看護師が増加しているにもかかわらず、他方で、ケアを受ける権利は後退しているといった矛盾が、そもそも「倫理についての私たちの理解の仕方」になにか問題があるのではという課題として捉え返された。善悪をめぐる判断に関わる倫理において、わたしたちが問うべきなのは、「優先すべき価値の明確化だが、このこと自体決して容易ではない」。この問題提起を受けて、上記、1)について考察した。また、「emancipatory knowing」という知のあり方は、より大きな政治的・社会的構造における看護師の無力化という問題にわたしたちの目を向けてくれる。そして、「倫理的問題に気づく、けれど解決の糸口がつかめない、倫理的であろうとすると苦しくなるばかりだ、これらの状況は、背景に社会政治的状況やそこにおける支配的価値が深く関わっているからにほかならない」との高田教授の主張をめぐって、上記、2)、3)について論じた。
Copyright © 2019, The Japan Nursing Ethics Associatin. All rights reserved.