特集 公害とその後
水俣病とその後
二塚 信
1
Makoto FUTATSUKA
1
1熊本大学医学部公衆衛生学
pp.516-522
発行日 1987年8月15日
Published Date 1987/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207513
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■水俣病の現況
水俣病の公式発見は昭和31年5月,経済白書が「もはや戦後ではない」とうたった年である.以来31年,本年2月末の水俣病認定患者は熊本,鹿児島両県で2,158人(うち死亡780人)を数える.このほか,水俣病かどうかの判断を求めている認定審査申請者が5,440人にのぼる.
図1は患者発生地域の八代海沿岸集落別の水俣病患者の有病率を示す.当初,劇症患者の多発をみた湯堂,茂道など水俣湾周辺の漁村集落の有病率は20〜40%で,集落ぐるみの地域集積性を物語っている.この地域を中心にほぼ南北40km,東西15kmにわたる沿岸部のほぼすべての集落は1〜10%の有病率を示し,水俣病がとりもなおさずこの地域の,最も重要な地域保健の課題であることを示唆している1).
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