- 文献概要
これまで,作業療法は定量的なデータに基づく客観性を重んじる医学の中にあって,対象者の生活に焦点を当てた臨床技術の蓄積や作業療法効果の発表について,とかく苦慮してきた.そのような中,社会学および人類学者によるフィールドワークから発展してきた参与観察や,インタビューに基づく質的研究手法は,近年作業療法の分野で脚光を浴びつつある.本邦でも,グラウンデッドセオリーやKJ法などの質的研究手法を用いた研究も出始め,質的研究手法に関心が高まりつつある.
しかし,作業療法の研究手法として,質的研究の具体的な方法論を文献等に見いだすことはまだ不十分であり,体系化された学問として学ぼうとするにも,十分なオリエンテーションを持っていないのが現状である.
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