- 文献概要
すでに,国家試験によるリハビリテーション医療専門職種としては,理学療法士(PT),作業療法士(OT),義肢装具士,視能訓練士などがある.医療言語聴覚士(ST)の第1回国家試験も今年の3月に実施された.この中でも,複数の障害型に対し複数の治療理論に基づいてアプローチする療法として作業療法と近接しているものは,PTとSTであろう.リハビリテーションとしては,いずれも最終的には生活に結びつくアプローチの視点・方法を持っていることは共通する.あえてそれぞれの治療のキーワードを挙げるとすれば,人あるいは脳の機能として,PT「運動」,ST「言語」が思い浮かぶ.これらのキーワードは,関連職種や治療を受ける人の,その療法に関する共通のイメージを喚起しやすい.作業療法は当然「作業」がキーワードとなるが,治療対象者らに治療イメージを伝えようとすると,その伝えようとする人に合わせた,解説,翻訳が必要となる.ここで「運動」,「言語」との関係で「作業」を翻訳しようとすれば,OTでは「行為」のキーワードが挙げられる.必ずしもこのキーワードで作業療法を包括的に伝えることはできないかもしれないが,他の療法と重ならない治療のキーワードを持つことは意味があると思われる.
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