◆特集 経験を学ぶ—臨床作業療法教育をめぐって
絶え間ない経験の改造としての臨床実習の意味—厚生省立養成校の理念と立場
梅崎 利通
1
1国立療養所箱根病院附属リハビリテーション学院
pp.413-415
発行日 2000年10月15日
Published Date 2000/10/15
- 販売していません
- 文献概要
- 1ページ目
- サイト内被引用
“悪貨は良貨を駆逐する”の諺の通り,昨今の学校の急増は実習の形態と本質を最悪の方向に転換させてしまった.今年度から導入された新カリキュラム(大綱化)は,今までの旧カリキュラムとはかなり質的に変更されてはいるが,これを改正とは言いにくいのが実状である.なぜなら規制緩和の流れのもとに時代的な要請に応えての変化とは言っても,全体を巨視的に見れば,結果的によい方向への道程とは成りえなかったからである.規制が緩和されれば,人はより有利な方向,より安易な方向へと向かう習性を有している以上,教育の中身も実習の内容も,養成施設を巡る内外の厳しい状況の中で,学校としての存続を掛けて学生を教育し実習地を確保していかざるをえないため,今の時点でできうるギリギリの方法を選択することになった.それは結論的に言えば,過去に受けてきた教育よりも,ある意味では悪い方向へと転換せざるをえないことを意味していた.また現実にはそれしか残された方策が見あたらないのも事実であった.以下に,憂うる実状とそれに対する厚生省立の学校としての当校の立場を私見として述べたいと思う.
Copyright © 2000, Japanese Association of Occupational Therapists. All rights reserved.