巻頭言
リハビリテーション科医は孤独なのか?
原 貴敏
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1国立精神・神経医療研究センター病院身体リハビリテーション部
pp.836
発行日 2023年10月18日
Published Date 2023/10/18
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- 文献概要
私が入局し,リハビリテーション科医の道を進むことになって,10年以上経過した.入局当時は,6年ほど新入局員がおらず,私は久しぶりの入局員であった.当時,先輩の先生方からは,多くのことを学んだ.特に直近の先輩がいないこともあり,実臨床からリハビリテーション科医としての学びの場をいただいた.病棟の担当もあり,患者の主治医として受け持ちを行いながら,さまざまな領域の患者を経験していった.ときには深夜に呼ばれ,病院に駆けつけたこともあったが,昼夜を問わず,実臨床場面から多くのことを学んでいた.しかし多少,週末は時間があり,そのようなときにふと思うことは「本当に,このままでいいのだろうか?」というある種の不安のようなものであった.やはり他の科の同期の仕事量や学術的な部分が気になってしまうものである.疑心暗鬼のようなものが,その当時はよく自身の頭の中で渦巻いていた.
これを克服するための唯一の方法は,リハビリテーション領域の知識をつけることであったと思う.そのため,気になる論文を丁寧に,頭から最後まで読むようにし,わからないことがあれば調べ,1つの論文を1週間かけて読むこともあった.今思うことは,そのときに蓄積した知識だけでなく,調べ方1つにしても,現在の自身の学術的な活動に大きく影響を与えていると思う.
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