いのちの現場で したたかに生きる看護婦を追って・6
孤独な闘い
長岡 房枝
1
1(株)日本軽金属診療室
pp.685-687
発行日 1981年6月1日
Published Date 1981/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919266
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日記/12月10日/晴
午前6時起床,紅茶,トースト,ロースハム,野菜サラダの朝食をとり,中学生と高校生の息子2人に弁当を持たせて送り出し,職場に向かう.9時職場に着く.10時医師来室,診療を開始した.
11時ごろ,9階でM取締役が倒れましたと社員が知らせに来た,医師に報告し血圧計と救急薬品箱を抱え医務室を飛び出す.診察を待っている数名の患者が不安そうに見送っていた.エレベーターがこないので6階から9階まで階段を駆け上がる.M取締役はソファーに倒れかかった姿勢で冷汗を浮かべていた.医師の表情が一瞬厳しくなる.ズボンのベルトをゆるめ肌着の前をはさみで切り開く.血圧は最高40mmHg,最低は測定できない.ビル内のオフィスでの医療の限界を感じながらニトロールを舌下に含ませ,医師の指示通り硫酸アトロピン,キシロカイン,ソセゴン等の注射をし救急車の手配をすませ,酸素を取りに6階医務室に戻る.酸素吸入を続けていると救急車が到着した.
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