連載 ほんとの出会い・56
孤独,あるいは人恋しさ
岡田 真紀
pp.921
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101731
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「ある夜,家に帰ってくると,ドアの外に彼女がいるのを見つけた。彼女はどこにでもついてくる。戻ってくる,ここにいる」。その彼女とは「孤独」のこと。学生時代,聴きほれていたシャンソン歌手,バルバラが歌う「孤独La Solitude」の一節。
誰でも自分の孤独を描きだす物語を一つか二つはもっていることだろう。私にとって忘れられないのは,このバルバラを聴いていた頃のこと。単身,沖縄の八重山諸島石垣島で音楽の調査をしていたときだった。石垣島と沖縄本島の那覇,そして東京と,3か所で高校生たちの音楽の好みを比較してみようという目的だった。石垣島の高校生に7~8人集まってもらって,民謡や歌謡曲,ポップス,ロックなど,歌手では誰が好き? 歌はどの曲が?と自由に話してもらった。高校生たちは素朴で元気で飾り気がなく,すぐに打ちとけてワイワイと楽しくインタビューを終えた。さて夕暮れになり,みんなは三々五々家路に着き,私は安く泊まらせてもらっているホテルに帰った。
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