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2022(令和4)年4月には育児介護休業法が改正され,現在医療の現場でも男女共同参画,Diversity and Inclusion,働き方改革,男性の育児休業取得などのさまざまな取り組みが進められています.私ごとでありますが,今年度は病院の推奨に従い,専攻医プログラム内の女性医師に対する産休育休の支援とともに男性医師にも育児休暇を取得してもらうことができました.療法士においても男女問わず産休育休を取得することを推奨しています.これらは少子化対策や医療職のキャリアアップ支援のために重要な取り組みとなりますが,この制度の導入を円滑に進めるためには現場にいる医師やスタッフの数が十分充足されている必要があります.人材が少ない際には残されたスタッフの疲弊につながり「持続可能」なシステムにはなり得ません.よって,職場を支え合う仲間を増やすことが急務であり,リハビリテーション医学の世界にさらにたくさんの医師が集まってくださることが必要です.
ところで,現在Diversity and Inclusionはその浸透過程にありますが,昨今はDiversityへの配慮が行き過ぎではないかと思われるような事象もあります.「相手が不快に思えばハラスメント」というコメントがテレビやインターネットで流れていますが,先日の院内研修で講師の先生から,相手の主観のみにより他方が不利益を被ることはなく,ハラスメントか否かはあくまで「平均的な労働者の感じ方」を基準にして判断されることを聞きました.「相手が不快に思えばハラスメント」という誤解は必要以上に萎縮してコミュニケーションを減らすことにつながり職場の相互理解を妨げる悪循環が生じるとのことです.ハラスメントを恐れるあまり業務上必要な最低限の会話にとどめる,異性の仲間と食事に行かない,飲み会では女性の隣に座らない,といった現象は心地よい仕事環境とは程遠いものになってしまいます.Diversityに対するポジティブアクションも昨今は行き過ぎた傾向にあり,少し中立化させる必要があるのかもしれません.
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