Japanese
English
- 販売していません
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
脳卒中のリハビリテーション医療においては,ラクナ梗塞,中大脳動脈閉塞,被殻出血,視床出血という程度の診断に基づいて実践されている.しかし,さまざまな病態や現象を示す患者を理解するためには,より詳細な脳の障害部位や程度などについて情報が必要である.より詳細な脳内の情報が提供され,かつ,それらを理解する知識があったほうが合理的,効果的な評価およびアプローチを行える可能性が高くなる.
脳はいろいろな部位同士が神経線維で結ばれて神経回路を形成し,有機的に働くように構成されている.認知・情動面の制御に関する回路,空間・立体認知に関する回路,腹側視覚経路や背側視覚経路で説明されるような視覚情報にかかわる回路,言語理解や環境音にかかわる回路,筋活動や運動調節,あるいは姿勢制御にかかわる回路,左右半球間の情報交換による有機的システムに関する回路など,数多く存在する.その中で,視床,基底核,小脳は重要な機能を発揮する.
脳卒中は決して局所症状にとどまらず,これらの神経回路の障害によってさまざまな病態を示す.障害されたシステムもあれば,一方で残された別ルートの回路を利用することができる可能性も考えられる.リハビリテーション医療の中で脳画像をみる目的は,脳損傷の部位や程度の確認と,それらと臨床現象との照合による評価上での再確認および見落としに気づくこと,将来的な可能性を潰さないようにそれを導き出す方法論を検討するための材料にすることなどである.それらを読み解くために特に注目すべきことについて,誌面の許す範囲で概説する.なお,多くのリハビリテーション病院ではtractographyを用いていないことから,通常の脳画像を用いて説明を加える.
Copyright © 2021, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.