特集 視床出血と理学療法
視床と周辺の機能解剖
吉尾 雅春
1
Masaharu Yoshio
1
1千里リハビリテーション病院
キーワード:
視床
,
視床核
,
連絡線維
,
脳システム
Keyword:
視床
,
視床核
,
連絡線維
,
脳システム
pp.389-396
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201186
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はじめに
視床(thalamus)はその解剖学的位置から若い女性の寝室や新婚の寝床という意味をもつギリシア語に由来している.もともと視ることにかかわる言語であるopticusが付いて視床と翻訳されたものであるが,視床の機能が明らかになり,英語ではthalamusのみの表現になっている.
視床は脳幹と終脳との間に位置する間脳の中心的存在で,身体の内外から大脳皮質に伝えられる情報の中継核であり,また基底核ネットワークや小脳ネットワークの一部をなす神経核の集合体である.それらを結ぶ神経線維以外にも,視床の外側に位置する内包後脚および内包膝を下降する線維は視床出血により損傷される可能性がある.つまり,視床出血という診断には複雑多岐な障害を含んでいることになる.
本稿では視床の機能解剖をはじめ,視床出血患者の理学療法に重要と思われる情報をできる限り簡潔に紹介し,各論の理解の一助とする.
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