連載 リハビリテーション医学研究のこれから
促通反復療法研究とその周辺
河村 健太郎
1
,
衛藤 誠二
1
,
下堂薗 恵
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科運動修復学講座リハビリテーション医学
pp.1087-1089
発行日 2020年11月18日
Published Date 2020/11/18
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当教室の研究活動は,1937(昭和12)年に霧島に設置された県立霧島温泉療養所に端を発し,入浴や温熱治療などの物理療法研究,自律神経機能などの生化学的・生理学的基礎研究を礎に,それらを活用した高血圧症,心不全などの循環器疾患治療,そして各種脳卒中後遺症に対する,より効果的で汎用性の高い治療法の研究へと歩を進めてきた.本稿では,近年注力している脳卒中後片麻痺治療に対する研究を紹介する.
われわれは片麻痺回復の運動療法として促通反復療法(repetitive facilitative exercise:RFE)を開発し,発展,普及させてきた1).RFEは促通手技による随意運動の実現とその集中反復との相乗効果で必要な神経回路,特に運動性下行路を再建強化することを目標としており,多施設ランダム化比較試験でも,その効果を確認した2)(図1).RFEは『脳卒中治療ガイドライン2015』で,軽度〜中等度の上肢麻痺患者に対してグレードBで推奨されている.われわれは,さらに効率的な神経回路の再建強化には,より選択的に,高頻度に,少ない患者努力で随意運動を実現することが重要と考え,RFEを軸として大脳皮質や末梢からの各種非侵襲的刺激を組み合わせる手法の開発を進めてきた.
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