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はじめに
リハビリテーション医学はdysmobilityを対象とする医学である.随意運動を考えた場合,われわれが随意運動を行うときには,例えば,指を動かす際には,運動野の指の領域を支配する錐体細胞が発火し,皮質脊髄路をその活動電位が伝播し,脊髄前角細胞を発火させ,末梢神経を活動電位が伝播し,神経終末に活動電位が到達するとアセチルコリンが放出され,筋におけるアセチルコリン受容体にアセチルコリンが結合することにより,活動電位が生じ,筋線維が収縮する.われわれの動きは電気的な活動で行われている.そこで,dysmobilityを対象とするリハビリテーション科医にとって,病態の診断において電気生理学検査は必須である.米国,ヨーロッパ,アジア諸国においても筋電図・神経伝導検査による電気診断はリハビリテーション科医の専門領域である.
しびれや筋力低下をきたす代表的なものに,neuropathyがある.
Neuropathyはその病変部位の分布より,①mononeuropathy,②polyneuropathy,③mononeuropathy multiplexに分類される1).mononeuropathyの代表的なものは,末梢神経に局所的に加わる圧迫や伸展,屈曲,摩擦などで生じる絞扼性神経障害“entrapment neuropathy”があり,その頻度は高い.Entrapment neuropathyの代表的なものとしては,手根管症候群,ulnar neuropathy at the elbow,Guyon管症候群,橈骨神経麻痺,腓骨神経麻痺などがある.
運動障害を治療の対象とするリハビリテーション科医にとってentrapment neuropathyはcommon diseaseであり,その診断,治療法の決定,予後予測ができなくてはならず,そのためには電気生理学的検査,電気診断は必要不可欠である.
Entrapment neuropathyの診断には,神経伝導検査・筋電図が有用であり,その予後判定においても非常に有用である.Neuropathyの分類においては,もう1つ重要なものに病態による分類がある(図1).神経障害が髄鞘の障害にとどまっている脱髄が主体の場合は,予後は良好であるが,軸索障害が加わるとそれに応じて予後も不良となる.
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