臨床経験
上肢のEntrapment Neuropathyの経験
児島 忠雄
1
,
原瀬 瑞夫
1
,
家常 敏弘
1
Tadao KOJIMA
1
1東京慈恵会医科大学形成外科
pp.644-659
発行日 1969年8月25日
Published Date 1969/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904114
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緒言
神経が線維性あるいは骨線維性のトンネル(fibroosseous tunnel)を通過する時,また線維性あるいは筋肉性の帯状物によつて走行が変えられるところで機械的刺激をうけてneuropathyをおこすことは古くから知られている.すなわち正中神経の手関節部での遅発性正中神経麻痺あるいは手根管症候群,尺骨神経の肘関節部での遅発性尺骨神経麻痺はとくによく知られているところであり,また橈骨神経も肘関節部でカンクリオンなどにより麻痺をおこすことが知られている.Kopell,Thompsonはこれらの点をentrapment pointと呼び,この部でおこされるneuropathyをentrapment neuropathyと総称し,1959年上肢1),1960年下肢2)について報告し,1963年"Peripheral Entrapment Neuropathies3)"の著書をあらわした.
Kopell, Thompsonは,entrapment neuropathyはいくつかの共通した症状を有するものとして次のものをあげている.
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