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サルコペニアへの関心の高まり
サルコペニアは当初,老化に伴う生体の変化の1つと捉えられていた.しかし,近年サルコペニアのコンセプトが見直され,高齢者において筋肉量の減少がある一定以上に進行すると,転倒や要介護状態,合併症の頻度,死亡のリスクなどが高まることが明らかになり,欧州サルコペニアワーキンググループ(EWGSOP)1)をはじめとして,欧米より相次いでサルコペニアの診断基準が提唱された.アジアのサルコペニアワーキンググループ(AWGS)2)によりアジア人のための診断基準も提唱され,サルコペニア関連領域の基礎的・臨床的研究が本邦を含む世界中で盛んに行われている.図1はPubMedで「sarcopenia」を検索語とした論文数の年次推移である.サルコペニアに関連した医学論文が年々増加していることがわかる.特に2010年はEWGSOPが世界初のサルコペニアの定義・診断のコンセンサス論文1)を発表した年であり,この年を機にここ数年サルコペニアの医学論文数が指数関数的に急増している.
2016年10月にはサルコペニアが国際疾病分類(ICD-10)に「疾患」として新規登録された(M62.84;「その他の明示された筋障害」).さらに,日本サルコペニア・フレイル学会などを中心に結成されたガイドライン作成委員会により,世界初のサルコペニア診療ガイドライン(以下,診療ガイドライン)が2017年12月に発刊された3).本邦においても,サルコペニアが診療報酬上の病名として登録される見込みである.また,リハビリテーションの関連学会でも,サルコペニアの演題発表や学術論文が年々増加している.そのため,リハビリテーションに従事するすべての医療従事者がサルコペニアの病態生理を理解し,診断や対策を習熟し実践していくことが求められる.
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