臨床経験
肩甲背神経の刺激とそのEntrapment neuropathyについて
山本 龍二
1
,
小島 伸介
,
片山 雅宏
Ryuji YAMAMOTO
1
1東急病院整形外科
pp.631-635
発行日 1970年8月25日
Published Date 1970/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904441
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
頸の痛み・肩こり・上肢の疼痛・しびれ感を訴えて外来を訪れる患者は多い.われわれはこれらの患者を頸髄自身に異常のあるもの,またいわゆるcervical syndromeやscalenus syndromeなどとして,それぞれの治療を行なつている.また頸部の外傷によるものを頸部捻挫または鞭打ち損傷として治療しているが,これらは自覚症状が多いにもかかわらず他覚症状が少なく,また不明確なことが多いから,その予後判定が難かしい.したがつて,その治療法もむずかしく,以前は定説がなかつた.しかし最近になつて,各方面の研究がすすみ,その本態はまだ十分に解明されていないとはいうものの,一定の方針にしたがつて治療を行なうと,多くの症例は治癒傾向をとることが明らかになつている.しかし単純な頸椎捻挫型以外の症例ではまだまだ難治例が多く,その治療法の研究は今後に残された課題である.
われわれは上記の頸の痛み・肩こり・上肢の疼痛・しびれ感などの症状は多くのばあい,なんらかの原因によつて起こつた頸神経の刺激状態ではあるまいかと考えた.また疼痛・放散痛・知覚の変化・筋肉の萎縮などの症状は,その結果起こるものと考えている.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.