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総論
障がい者にとって運動は健常者以上に有用で,障がい者の積極的なスポーツ参加が望まれる.障がい者スポーツの目的はさまざまで,筋力や体力の向上を目的とする者から,社会参加を目的とし生涯スポーツに励む者,さらには,競技スポーツとしてパフォーマンスを競うアスリートまでいる.
障がい者スポーツはリハビリテーションの一環として生まれた.1948年にLudwig Guttman卿がStoke Mandeville病院で脊髄損傷対麻痺患者を対象に開催したスポーツ大会がその起源とされる.そして,同大会が発展し1960年にローマで開催された国際Stoke Mandeville車椅子競技大会がパラリンピックの第1回大会とみなされている.わが国で,はじめに障がい者スポーツが話題となったのは,第2回パラリンピック大会とされる1964年の国際身体障害者スポーツ大会である.同大会の成功を受け,日本身体障害者スポーツ協会が設立され(現・日本障がい者スポーツ協会),1965年より身体障害者スポーツ大会(2001年からは全国障害者スポーツ大会)が毎年開催されている.さらに,1998年に長野冬季パラリンピックが開催されたのを機に,障がい者スポーツの報道を目にする機会も増えた.2011年8月に施行されたスポーツ基本法では,「障害者が自主的かつ積極的にスポーツを行うことができるよう,障害の種類及び程度に応じ必要な配慮をしつつ推進されなければならない」と明記された.同法をもとに文部科学省によりスポーツ基本計画が策定され,国策として障がい者スポーツが推進されるまでになった.そして,2020年には,東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される.
健常者と同様に,障がい者にも競技に伴うけがやトラブルがつきものである.しかし,障がい者が健常者と大きく異なるのは,彼らが同時に疾病,障害臓器に特有の運動生理学的特徴,医学的な問題も抱えているという点である.また,障がい者に関する研究はまだ十分とはいいがたい.障がい者の競技力の向上と安全性の確保のために,リハビリテーション科医が果たすべき役割は多い.
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