連載 高次脳機能障害に対する認知リハビリテーションの技術・第8回
脳腫瘍により前向健忘を認めたが教習所との連携により運転を再開した例
藤田 佳男
1,2
,
三村 將
2
1目白大学保健医療学部
2慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
キーワード:
自動車運転
,
脳腫瘍
,
前向健忘
,
運転リハビリテーション
,
実車評価
Keyword:
自動車運転
,
脳腫瘍
,
前向健忘
,
運転リハビリテーション
,
実車評価
pp.637-639
発行日 2016年8月18日
Published Date 2016/8/18
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はじめに
近年,高次脳機能障害者の運転支援を行うリハビリテーション施設が増加している1).しかし,自動車等の運転は社会的責任が伴う作業活動であるため,その可否判断には慎重さが求められる.特に記憶障害や失語症がある場合,法令上の具体的な制限はないものの,事故が起きた際の証言能力などに問題が生じることも十分あり得る.それゆえ,そのような症状をもつ対象者が自動車等の運転を希望した場合,その対応に悩む場合も多い.運転適性評価は一定の医学的判断を経て,神経心理学的検査,ドライビング・シミュレータ,実車評価などにより行うが,そのうち実車評価がゴールドスタンダードであり2),その後の事故経験を予測する最も重要な指標である.しかし,実車評価を行うには相応の準備や費用がかかるため,限られた施設でのみ行われているのが実情である.本稿では脳腫瘍により前向健忘を認めるものの,運転再開を強く希望した対象者について,教習所での実車評価を行い,自家用車の運転を再開した経過を報告する.
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