特集 高齢障害者の自動車運転
自動車教習所と医療・福祉分野の連携に必要な基礎知識
藤田 佳男
1,2
,
三村 將
2
1目白大学保健医療学部作業療法学科
2慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
pp.712-716
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5003200221
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はじめに
平成26(2014)年の運転免許統計では,65歳以上の高齢運転免許所持者は20%を超え,今後も女性を中心に増加が予測されている1)。近年,それに伴い認知機能の低下が認められる高齢者が引き起こした交通事故の報道が増えている。その結果,いくつかの自治体では医療・福祉側と警察とがリスクのある免許所持者の情報を共有する例も出てきた2)。現在は医療・福祉関係者が自ら免許センターや自動車教習所(以下,教習所)に連絡を取り,対象者の運転などについて助言を得る例は多くはない。しかし今後,運転に支障のある疾患を持ちつつ運転再開を希望する者は増え続け,われわれが自動車の運転を含めた地域での移動について相談に対応できることは重要性を増すと考えられる。本稿では高齢障害者の運転を取り巻く状況と関係法令,運転再開への道筋を概説し,教習所などと連携し,相談・支援を行う場合のポイントを述べる。ただし,関係法令の運用実態は各都道府県ごとに若干の差異があるので,必要に応じて各管轄の運転免許課に照会されたい。
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