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特集 神経再生医療とリハビリテーション
脊髄損傷の再生医療とリハビリテーション
Rehabilitation and regeneration treatment of spinal cord injury
田代 祥一
1,2
Syoichi Tashiro
1,2
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
2杏林大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
2Department of Rehabilitation Medicine, Kyorin University School of Medicine
キーワード:
細胞移植
,
慢性期
,
ニューロリハビリテーション
,
再生リハビリテーション
Keyword:
細胞移植
,
慢性期
,
ニューロリハビリテーション
,
再生リハビリテーション
pp.15-21
発行日 2021年1月10日
Published Date 2021/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202126
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はじめに
脊髄損傷の年間発生件数は約6千人,罹患者数は15万人といわれている.その要因は交通事故や転落,スポーツ外傷などで,若年層に比較的好発するものの,近年では高齢者の転倒などの軽微な外傷を契機としたものが増加している.不可逆性変化を生じた脊髄神経に対する根本的治療法に確立されたものはなく,治療の主体はリハビリテーションに依らざるを得ない部分がある.
脊髄再生医療の実現化が世界的に進められてきているが,わが国で研究・実用化が進められている細胞治療は主に3つある.急性期患者に対して再生医療等製品として保険適用が認められた札幌医科大学神経再生医療科の自家骨髄間葉系幹細胞の大量静注療法は,非侵襲的で間接的な脊髄再生医療である.大阪大学脳神経外科で慢性期患者に対して先進医療として研究が行われている自家嗅粘膜移植は,瘢痕組織の除去と組織の移植からなる直接的方法であり,慶應義塾大学で研究されている神経前駆細胞移植もまた,損傷脊髄に直接的に細胞を注入する方法である.これらは外科的手術による部分があり,侵襲性を伴う瘢痕除去法については想像しやすいが,注入についても,損傷部瘢痕組織の吻側と尾側に行われることが多く,特に吻側への注入は残存髄節機能への影響がないとはいえない.
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