第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 パネルディスカッション◎小児リハビリテーションの展開
自閉症の医学的リハビリテーション
髙橋 脩
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1豊田市こども発達センター
pp.609-610
発行日 2015年10月18日
Published Date 2015/10/18
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自閉症,近年のトピックス
自閉症は,①全般的なコミュニケーションの困難性,②対人関係における困難性,③同一性保持傾向・変化への抵抗・興味限局,を特徴とする行動症候群である.有病率・累積発生率は近年の報告では2%程度であるが,2013年度に豊田市で行った累積発生率の調査では小学1年生で3%,6年生で3.9%であり,従来よりもさらに高い値を示した.
1980年代までは,自閉症は上記の3主徴からなる単一症候群と考えられていた.1994年に改訂された米国精神医学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル第Ⅳ版』において,広汎性発達障碍という包括的な診断名の下に,症状の程度,発症時期,知的発達の程度などにより5種類の異なった障碍(自閉性障碍,Asperger障碍,小児期崩壊性障碍など)に下位分類された.これら障碍の異同について,長い論争が行われたが,結局のところ症状の程度が異なるだけであり,本質は同じであるとの妥当な結論に至った.これを受けて,2013年にさらに改訂された上記学会の『精神疾患の診断・統計マニュアル第5版』では,再び単一障碍であるとされ,3主徴の程度に広がりがあることを表すために,診断名は自閉症スペクトラム障碍と改められた.これにより,診断を巡る臨床現場の困惑と混乱は収束していくことであろう.
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