第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 パネルディスカッション◎小児リハビリテーションの展開
脳性麻痺リハビリテーションとニューロリハビリテーション治療のハイブリッド化について
朝貝 芳美
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1信濃医療福祉センター
pp.605-608
発行日 2015年10月18日
Published Date 2015/10/18
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はじめに
脳性麻痺児のリハビリテーション(以下,リハ)はどのようにあるべきか,特に地域生活を支援するためのリハの在り方はどうすべきか? 発達の自然経過をリハはどれだけ変化させられ,子供の持っている能力を最大限引き出せているか? など多くの課題をかかえている.また客観的な統一した評価法がなかったため,リハの方法や施設間のリハ効果に関して比較検討がなされないまま経過してきた.その経過の中で集中訓練に対する考え方も消極的であり,いまだに明確なエビデンスが得られていないのが現状である.痙直型脳性麻痺児に無理なリハを行うと変形拘縮が増悪するので集中訓練は禁忌であり,地域で生活をすることが社会性を身につけるためにも重要で,移動手段は車椅子で良いという考え方もみられる.このような従来の脳性麻痺児のリハに対する常識に対して,筋緊張を抑制する手段があれば集中訓練の効果は上がると考え,リハ効果を向上させるための補助的手段を求めてきた.近年,各種の痙縮治療が導入され集中訓練の適応は拡大した.しかしリハ体制は従来のままで,通院頻度を増やしたり,入院集中訓練が実施できる施設は少ない.このような状況では児の能力が伸びる時期に適切な量と質のリハが実施されずに,機能の伸びる年齢を逸している例がみられる.また,失調を軽減する方法や重症児の脆弱性骨折を予防する治療などの取り組みについても報告する.
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