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はじめに
日常生活活動(ADL)は,慣れ親しんだ,繰り返し行ってきた動作であり,障害をもった対象者にとってその再建は早急な課題である.対象となる活動(課題)はそれを行う患者(個人)と環境との相互作用の中で成立するため,リアルタイムに実際の場所で介入を行うことが望ましいが,対象動作を繰り返すだけでその実現が可能となるかは,セラピストにとって命題である.限られた時間の中で,失われたADLを効果的に実現するには,活動ができない理由は何かを分析しながら(評価)効率的に繰り返し練習する(介入)ことが重要であると考える.
ADLを評価するツールはFunctional Independence Measure(FIM),Barthel Index(BI)などがあるが,FIMは多職種共通のツールとして自立度や介護量を知り,アプローチする内容を明確にできる.また達成度や介入効果を判定することができる.しかし一方では,セラピストとして具合的な介入プログラムを立案するためにその背景となる関連因子を明確にすることはむずかしい.一般的にセラピストは動作獲得のために,その背景となる機能障害の評価や,活動そのものの評価を行うが,ADLなどは,主として観察により行うため,主観的で評価者の技能次第で,信頼性が不十分であると考えられている.この主観的動作分析をより客観的にできるものとして,三次元動作解析装置があり,実際の活動を力学的指標により表現することができる.立ち上がりや歩行については多くの分析結果や文献が散見されるが,作業療法士が担当する更衣動作や排泄動作など応用動作に関しては,解析結果や治療介入の指標となる文献は少ない.しかし測定する活動の工夫により客観的評価ができるのではないかと考えている.
今回,三次元動作解析装置で応用動作としてのADLをどのように客観的に評価ができるかを検証するために,排泄後の殿部清拭動作,靴下履き動作について,これまでの私たちが評価分析した内容をもとに検討した1〜6).
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