Japanese
English
講座 日常生活動作の再検討(5)
車椅子動作・移乗動作・日本的生活様式におけるADL
Reconsideration of Activities of Daily Living: Wheelchair driving, transfer and ADL in Japanese life style.
伊藤 利之
1
,
渡辺 慎一
2
Toshiyuki Ito
1
,
Shinichi Watanabe
2
1横浜市総合リハビリテーションセンター障害者更生相談所
2横浜市総合リハビリテーションセンター地域サービス室
1Counseling Office for the Handicapped, Yokohama Rehabilitation Center
2Community Service Division, Yokohama Rehabilitation Center
キーワード:
日常生活動作(ADL)
,
車椅子
,
移乗
,
日本家屋
,
生活習慣
Keyword:
日常生活動作(ADL)
,
車椅子
,
移乗
,
日本家屋
,
生活習慣
pp.557-562
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106829
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はじめに
身の回りのことを親や妻に頼っているのは何も障害者に限らない.しかし,それは上手いか下手かは別として,その気になればいつでもできる能力のあることが前提である.一方.それにどのくらいの時間を要するかという問題は,人間として,社会的に生きる上で必要な仕事や対人関係上の約束事によって規定されている,社会的活動を行うためには,身の回りのADLにばかり時間を割くことはできないであろう.
ADLの自立度を評価する条件として,それが自分の力だけでやれるか否かという「できるADL」と,日常的に行っているか否かという「しているADL」とは異質のものがあり,そのギャップは必ずしもその人の機能や能力にのみ起因するものではない.「できるADL」は,その人の機能や能力の結果であるが,「しているADL」は,その人のトータルな生活態度を反映したもである.したがって,ADLの評価や訓練を行う場合,「しているADL」の評価は重要であり,それが何故日常的に行われていないかを正しく分析する必要がある.もし,それが甘えや意欲のなさによるもので社会的な理由でないとすれば,機能の維持をはかるためにも,より実践的な工夫や指導によってADLの定着をはかるべきであろう.
そこで本稿では,以上のような視点からADLをとらえ,車椅子動作,移乗動作,日本的生活様式におけるADLの各項目について,「しているADL」のための具体的な工夫や指導のポイントを解説する.
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