第51回 日本リハビリテーション医学会 学術集会 サテライトシンポジウム◎脳卒中の新リハビリテーション機器
運動誘発型機能的電気刺激(IVES)と脳神経機能的再構築
原 行弘
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1日本医科大学大学院医学研究科リハビリテーション学分野
pp.323-326
発行日 2015年6月18日
Published Date 2015/6/18
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はじめに
脳卒中発症者の多くに上肢片麻痺を認めるにもかかわらず,脳卒中発症6カ月後に上肢巧緻運動機能が回復するのはその1/3にすぎない1).従来,脳卒中上肢麻痺は発症後3カ月以降には殆ど機能がプラトーになるといわれてきている.一方20世紀までは,脳をはじめとする中枢神経は,一度損傷すると再生しないといわれてきた.しかし,21世紀になると,脳神経が再生する可能性が示唆され始め,ニューロイメージングの発展とともに脳神経機構の再構築の存在が明らかにされてきている.同時に,損傷後の神経機能回復促進を目的にしたニューロ・リハビリテーション(以下,ニューロリハ)という概念が提唱されてきた.ニューロリハとは,トレーニングによって残存した神経システムを賦活し,部分的に損傷した中枢神経を補完するという基本理念に基づいている.この基本理念に基づいて中枢神経の回復過程における脳の可塑性や神経ネットワークの再構築がニューロイメージング研究で確認されている.しかし,技能のいらない簡単な反復運動は,脳神経機構再構築のような変化を惹起しないとされ,脳血管新生や神経機能再構築には高度の運動負荷が必要といわれている.
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