Japanese
English
特集 脊髄損傷—最近の話題
機能的電気刺激
Present status in functional electrical stimulation
島田 洋一
1
,
松永 俊樹
2
,
柴田 暢介
1
,
佐々木 研
1
,
加賀 望
1
,
水谷 嵩
1
Yoichi Shimada
1
,
Toshiki Matsunaga
2
,
Nobusuke Shibata
1
,
Ken Sasaki
1
,
Nozomi Kaga
1
,
Takashi Mizutani
1
1秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系整形外科学講座
2秋田大学医学部附属病院リハビリテーション科
1Department of Orthopaedic Surgery, Graduate School of Medicine, Akita University
キーワード:
機能的電気刺激
,
NESSシステム
,
麻痺
,
脊髄損傷
Keyword:
機能的電気刺激
,
NESSシステム
,
麻痺
,
脊髄損傷
pp.307-314
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200193
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はじめに
脊髄損傷や脳卒中などによる運動麻痺では,上位運動ニューロン障害のために大脳皮質運動野からの運動シグナルが下位運動ニューロンに伝達されず,随意的筋収縮ができない.このような状態でも,下位運動ニューロンとその支配運動単位は電気的興奮性を保っており,これらに直接電気刺激を与えることによって,麻痺筋を収縮させることが可能である.機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)では,このような運動麻痺に対し,FESシステムにより,プログラムされた動作刺激を複数の刺激電極を介して麻痺肢に与えることで,目的とする動作の再建が可能になる1-3).
FESは,経皮的埋め込み電極システムを用いた麻痺肢再建が,国の高度先進医療に採択されたことから,臨床研究が進み,完全対麻痺の食事,書字,整容動作,起立,歩行再建など,これまでのリハビリテーションでは得られなかった効果を認めた4,5).しかし,手術を要すること,電極の感染,断線,移動などの問題があり,広く普及するには至らなかった.そこでわれわれは,米国Bioness社と提携し,新たな表面電極使用システムであるNESS systemの国内導入に努め,臨床治験後,2010年4月に薬事承認申請を行い,わず8か月で承認された.本システムの登場により,FESは医療機器として一般臨床に広く普及するようになった.NESS systemは,上肢用FES用のNESS H200®と下肢FES用のNESS L300TMがあり3,6),本稿では,その概要ならびに臨床効果について述べる.さらに,脊髄損傷者に対する新たなFES機器を紹介する.
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