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はじめに
物理療法は,古くて新しいリハビリテーション医療の重要な武器と言える.その物理療法のなかでも,電気刺激療法は重要な位置を占めてきたが,その内容は時代の流れとともに大きく様変わりをしてきている.
大きな変化の一つに電気刺激療法の目的と制御方法の変化がある.疼痛緩和や筋萎縮予防を目的とした従来の低周波電気刺激は,単純なon-off操作によるものであった.一方で電気刺激療法は,テクノロジーの進歩とともにコンピューター制御による多チャンネル電気刺激を用いて,障害の機能代償を行う「機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)」に進化してきた経緯がある.しかし,いたずらに電気刺激チャンネル数を増やして麻痺肢の動きを細かく再建しようとするあまり,患者が制御しきれないあるいは制御に介入できない非実用的なFESが,これまで多く認められた.その問題点を踏まえて,Dimitrijevic1)は,「FESは多チャンネル電気刺激を用いて麻痺筋を制御し機能再建をめざす電気生理学的装具という従来の姿から,脳の可塑性を促通するニューロリハビリテーションのmodalityに変貌してきている」と述べている.
このように,今日のFESは機能障害を代償する機能再建的意義よりも治療的意義が強くなってきており,制御しやすいように電気刺激チャンネル数を絞りこみ,個人の意思がより細かく反映される制御方法を採用してきている.特に,慢性期片麻痺上肢に対する電気刺激療法では,麻痺筋に対する単純で受動的な電気刺激に比べ,筋電誘発型のFESのほうが麻痺上肢の促通効果に優れ有効性が高いと言われている2).
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