第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》切断と義肢,その基本―座長/飛松 好子
電動義手の国内外における開発研究の現状
東原 孝典
1
1高松義肢製作所
pp.786-793
発行日 2012年11月18日
Published Date 2012/11/18
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はじめに
近年,イラク戦争により,欧米各国で傷痍軍人の上肢切断者が増加している.そこで,米国国防総省高等研究事業局(Defence Advanced Research Projects Agency:DARPA)を中心として多自由度の電動義手が開発され,臨床の場で評価されている.また,日本においては,障害者自立支援法,労災法における筋電義手の研究用支給が実施され,公的給付制度が改善されつつあり,外国製ではあるが,筋電義手が義手の選択肢の1つとして使用されようとしている.
日本における電動義手の歴史は,1960年代のサリドマイド薬禍による子供のための両側高位欠損児用電動義手が開発の始まりである.その後,日本においても幾つかの電動義手が開発され,早稲田大学加藤一郎研究室のグループが開発した筋電義手を基として,1979年に国産初の筋電義手であるWIMEハンドが今仙技研から発売された.しかし,支給制度等のいろいろな問題で,結局日本では電動義手は普及しなかった.現在も国内の大学および研究機関等で多くの電動義手が開発されている.近年の日本の電動義手の開発は,
1.ニューラルネットワーク等を利用した筋電信号等のパターン認識を用いた前腕切断用多自由度電動義手の開発
2.プログラミング動作を基本とした多自由度の全腕電動義手の開発
3.装飾性の優れたシンプルな筋電義手の開発
の3つに大きく分類することができ,各々の代表的な電動義手の研究を報告する.また,海外における電動義手の開発と,海外で市販化されている最新の筋電義手を紹介する.
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