第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《シンポジウム》不全脊髄損傷―座長/緒方 徹
中心性頚髄損傷の臨床的定義とリハビリテーション転帰
富永 俊克
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1山口労災病院リハビリテーション科
pp.504-507
発行日 2012年8月18日
Published Date 2012/8/18
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はじめに
中心性頚髄損傷はSchneiderらによって提唱されて1)から約50年が経過する.その臨床的定義は,“損傷レベル以下の上肢機能が下肢機能に比べて不釣合いに優位に障害されていること”である.しかしながら,その後の研究で中心性頚髄損傷の臨床像は一様ではなく,多くの原因病態2)が混在し,その診断3)と治療法4)にコンセンサスは得られているとは言えない5).本邦でも中心性頚髄損傷についてはまとまった臨床経過についての報告6)は少ない.
一方,Pouwら7)は脊髄損傷の国際評価基準の1つであるAmerican Spinal Injury Association(ASIA)8)のkey muscleの筋力評価から上肢筋力総点と下肢筋力総点がまず算出できるが,この筋力の差から頸髄損傷の急性期臨床像を分類し,上肢筋力が下肢筋力より10点以上小さい値をとる頚髄損傷不全麻痺を中心性頚髄損傷とすることを系統的文献検索から提唱した.
以前,私たちも同様に上肢下肢の筋力スコアから急性期の頚髄損傷の臨床像について検討を行った9)が,その時の分析では頚髄損傷全体を対象としたため完全麻痺例が相当に含まれており,中心性頚髄損傷の実像を明らかにできていなかったと考えられた.
そこで今回は全国労災脊髄損傷データベースを利用して初診時の段階での上下肢の筋出力パターンから頚髄損傷不全四肢麻痺患者の麻痺型について3分類を行い,発生収容状況と治療状況について比較検討を行った.
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