Japanese
English
スポーツ傷害の予防・診断・治療 Ⅱ.部位別各論
1.脊 椎
スポーツにおける頚椎頚髄損傷
-――ラグビーを中心に
Cervical spine and spinal cord injury in sports;focusing on rugby
天野 国明
1
,
坂根 正孝
2
,
金森 章弘
3
,
田中 利和
4
,
大西 信三
3
,
山﨑 正志
3
K. Amano
1
,
M. Sakane
2
,
A. Kanamori
3
,
T. Tanaka
4
,
S. Onishi
3
,
M. Yamazaki
3
1つくばセントラル病院整形外科
2筑波学園病院整形外科リハビリテーション科
3筑波大学整形外科
4キッコーマン総合病院
1Dept. of Orthop. Surg., Tsukuba Central Hospital, Ushiku
キーワード:
rugby
,
cervical spine injury
,
return to play
Keyword:
rugby
,
cervical spine injury
,
return to play
pp.80-85
発行日 2018年4月25日
Published Date 2018/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei73_80
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は じ め に
本邦における脊髄損傷の約7%がスポーツを受傷機転としており,その多くは頚髄に起こると報告されている1).学校体育活動における死亡・重障害事故報告のスポーツ事故報告によると,受傷競技は水泳,器械体操,柔道,ラグビーに多く報告されている.受傷機転別ではプールへの飛び込み28.2%,技が不完全24.6%,ヒトとの接触19.1%,投げられる・打たれるなど17.3%となっている2).スポーツにおける障害を予防するためにはその発生のメカニズムを明らかにし予防対策を行い実践することが重要である3).アメリカンフットボールでは頚椎損傷の受傷機転を解析し,頭頂部から相手にタックルをするスピアリングタックルを反則とすることで頚椎損傷発生数を減らすことに成功している4).その他,各競技団体などで受傷機転の解析から安全対策を講じられている.
また,ラグビーなどコリジョンスポーツ選手は頚椎の変性が進行しやすいとの報告5)があり,変性がすすむと重大事故につながる可能性が示唆されている.頚椎外傷・障害・術後のコリジョンスポーツへの復帰の基準としてTorgらの報告6)があり,われわれはこの基準に準じて,疼痛の改善,神経症状の回復,可動域(ROM)の回復,筋緊張の低減を全般的な指標とし復帰をめざし治療を行っている(表1).実際には軽快増悪を繰り返しながら変動していくことが多く,診察室だけでの診察では不十分なことも多い.トレーニングルームやグラウンドでのパフォーマンスも含めて評価するためメディカルトレーナーと連携が非常に重要である.われわれが実際に行っている頚椎外傷後のスポーツ復帰について報告する.
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