特集 転倒と骨折
転倒による中心性頸髄損傷の理学療法
松本 規男
1
,
杉浦 雅美
1
,
山口 崇
1
,
清水 民子
1
,
北島 紀子
1
,
山西 睦月
1
Matsumoto Norio
1
1国立療養所村山病院リハビリテーション科
pp.170-177
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105028
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
日本パラプレジア医学会脊損予防委員会の国内全土を対象とした脊髄損傷の発生状況調査1)によれば,頸髄損傷(以下,頸損)が75%を占め,その78.5%が不全四肢麻痺である.そして,受傷原因は交通事故が最多(43.7%)であり,次いで高所からの転落(28.9%),転倒(12.9%)と続く.この転倒12.9%の平均年齢は61.7歳と高齢であり,多くは骨傷のないものであった.このように,比較的軽微な受傷原因で不全四肢麻痺となっている高齢者が多くみられることは注目される.
本稿ではまず,当院における転倒による頸損患者の実態を報告し,次いで不全頸損の代表例ともいえる中心性頸損患者の概要,症例報告を行い,その発生機序,整形外科的治療および理学療法について考察する.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.