第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》がんのリハビリテーションの実践に向けて―座長/辻 哲也
がんのリハビリテーションの動向―臨床・教育・研究―
辻 哲也
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1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
pp.287-293
発行日 2012年6月18日
Published Date 2012/6/18
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はじめに
がんは日本人の死亡原因の第1位であり年々増加傾向にある.がん生存者は2003年に298万人であったが,2015年には533万人に達すると予測され(2015年問題),がんが「不治の病」であった時代から「がんと共存」する時代になってきている(図1)1).
患者にとっては,がん自体に対する不安は当然大きいが,がんの直接的影響や手術・化学療法・放射線治療などによる身体障害に対する不安も同じくらい大きいものである.これまで,がんそのもの,あるいはその治療過程において受けた身体的・心理的なダメージに対しては,積極的に対応されることがなかった.医療従事者にしても,患者にしても,がんになったのだから仕方がないといった諦めの気持ちが強かったように思う.近年,情報社会の到来とともに患者のがんへの知識が深まり,医療に対する消費者意識が根付きつつあり,がん自体に対する治療のみならず,症状緩和や心理・身体面のケアから療養支援,復職などの社会的な側面にも関心が向けられ始められつつある.そのような状況の中,“がんと共存する時代”の新しい医療のあり方が求められている2).
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