第48回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/千葉 《パネルディスカッション》運動解析の新技法―座長/福林 徹
リハビリテーションの治療体系に影響を及ぼす骨関節動態の解明
菅本 一臣
1
,
坂井 孝司
1
1大阪大学病院リハビリテーション部
pp.283-286
発行日 2012年6月18日
Published Date 2012/6/18
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はじめに
身体の動きはそれを構成する骨関節の複合した動きによって形作られている.それは自動車が多くの部品からなるのと同じである.さて自動車が故障して走らなくなった時に我々はどうするのだろう.1つひとつの部品を点検し故障の原因を探ろうとするだろう.しかしそれぞれの部品がどのような働きをし,どういったメカニズムで動いているのかを知らないと故障を直すことができない.
体の動きに関しても同様のことがいえよう.全体の動きはその1つひとつを構成する骨関節の動きの複合であり,その1つひとつの正確で詳細な解析,評価によってはじめて十分な理解ができるようになる.しかし運動器は当然皮膚に被覆されているためにこれまでその動きに関して十分には明らかにされてこなかった.従来の研究手法では様々な欠点があったのである.
1)Cadaverを用いた研究:生きた人間ではないために生理的な動きの評価が不可能である.
2)X線イメージ装置を用いた研究:X線画像は骨の投影像であり3次元評価が不可能である.
3)皮膚マーカーなどを用いた動態解析研究:骨関節の動きを知る目的で皮膚の上に設置したマーカーであっても,皮膚の下で骨が大きく移動する関節では正確な評価ができない.
そのために我々の教室では十数年前より独自に骨関節の3次元動態を解析するシステムを開発してきたので,まずその概要を説明し,それを用いて明らかにされた骨関節動態に関する知見,さらにはリハビリテーション(以下,リハ)治療体系に及ぼす影響について順次述べたい.
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