特集 「がん悪液質」を知ってケアに活かす ~病態・最新の治療を理解してケアをアップデート~
がん悪液質に関する看護研究の動向
佐藤 理佳
1
Rika SATO
1
1静岡県立静岡がんセンター看護部/聖路加国際大学大学院博士課程
pp.770-774
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_770
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
がん悪液質に関する看護研究
2011年に国際的ながん悪液質の定義が決められてから10年以上が経過する.米国臨床腫瘍学会のがん悪液質ガイドラインでは,がん悪液質に対し薬物,栄養療法を推奨項目として挙げているが,いまだその効果は限定的としている1).また,「がん看護実践のためのエビデンス」をみても,がん悪液質は食欲不振に含まれるなど独立した項目として設定されておらず,ほかの症状管理と比較しエビデンスに基づく介入も少ないのが現状である2).そこで,がん悪液質に関する看護実践(とくに障壁となること)を明らかにするため,スコーピングレビューを行った3).ここでは,レビューの結果を解説するとともに,がん悪液質の看護実践,看護教育,看護研究における課題を述べる.MEDLINE, Cochrane Library, CINAHL, PsycINFO,およびEMBASEを用いて,キーワードに“cachexia” “neoplasms” “cancer” “nurse”を用いて検索し,①英語で記載されている論文,②成人のがん悪液質の看護実践に焦点を当てた論文,③2008年から2021年までに発表された論文(がんに限らない「悪液質」は2008年に定義されたため4))に該当する論文を選択した.小児,周術期,サバイバーの患者に焦点を当てた研究は除外し,17件の論文が該当した.
© Nankodo Co., Ltd., 2022