- 販売していません
- 文献概要
はじめに
脳血管障害での約30%では,運動機能障害や高次脳機能障害などの後遺症のために社会復帰の困難な場合が少なくなかった.通常のリハビリテーション(以下,リハ)の機能回復効果も,発症3カ月で減弱すると報告されている.そこで,通常のリハでは改善しない神経脱落症状に対して,中枢神経系の可塑性や機能代償性を利用しようとする,機能回復の手法が蓄積されていて,restorative neurologyと呼ばれている.実際,通常のリハでは改善しない運動麻痺のうち,低周波刺激などから約1/4の脳卒中例で2次的脊髄機能の低下の関与が示唆され,central spinal motor theoryを指示する報告もなされている.薬物学的にはnerve growth factor(NGF)inducerや注意力を高める作用のある覚醒剤などの動物実験や臨床例が報告されている.
Amphetamineによる,最初の脳卒中における臨床実験をふまえて,その回復機序,taskの重要性,問題点についてGoldstein(2009)のPrinceton Conferenceにもふれ紹介し,amphetamineの回復促進機序に関連すると考えられる,norepinephrine precursorが関与するとの仮説に基づき,私どもが行ってきたL-DOPS,central norepinephrine precursorの実験,臨床例での結果を紹介した.実験ではラットの一側sensorimotor cortex ablation model(SMC)とbeam walking behaviorによる機能回復モデルで,運動学習の重要性,病変の大きさと回復の程度,薬学的な効果,スポンジの創部移植の効果,慢性脳卒中における臨床でのL-DOPSのFugl-Meyer score(FMS),10m gaitでの改善促進効果,positron emission tomography(PET)での脳血流の変化,Videoをまじえて紹介した.
Copyright © 2011, The Japanese Association of Rehabilitation Medicine. All rights reserved.