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はじめに
ガイドラインの第3章では,リハビリテーション(以下,リハ)医療をめぐるさまざまな職種や関係機関・社会資源との連携をテーマとしている.脳性麻痺児に対するリハ医療において,多職種による包括的アプローチ,教育機関との連携,そしてさまざまな社会的資源の活用などの重要性は認められている.しかしエビデンスという視点からみると,十分な科学的根拠をもつ論文を見つけることが困難であった.また,この分野は国ごとに,または日本国内でも地方ごとに事情が異なり,また利用者の求めるものも各々の文化・価値観によって異なってくる.したがって,ある環境では十分なエビデンスに基づく研究結果であったとしても,その知見をそのまま別の異なる環境の場に当てはめて効果を期待することは難しいこともある.本章では,障害をもつ子どもの活動レベル・参加レベルの向上に有効なアプローチについて可能な限り客観的な検証がされている研究,またはリハ医学的にみて重要と思われる経験や意見が示されている論文を紹介している.
3-1の「多職種からなる包括的アプローチ」については,論文の多くは,その必要性を前提としたうえで実際の活動の報告や分析を行った記述研究であった.特に近年の脳性麻痺治療の進歩に伴い,ボツリヌス毒素・バクロフェン髄腔内持続注入・選択的後根切断術などの選択や実施における,他職種によるチームアプローチや包括的治療プランの必要性を指摘する文献がみられた.なお,チーム内に必要な職種という点では,各国の報告に比較してわが国では教育に関わるスタッフの参加が少なく,この問題は今後より配慮されるべきと思われた.3-3の「社会福祉サービスの利用」については,エビデンスという点からの論文がみつかりにくかった.
今回のシンポジウムでは,3-2の「学校に関する諸問題」における2つのリサーチクエスチョン「就学先の選択・就学後の適応に影響を与える要素は?」「医療と教育の連携・機能分担はどのようなかたちが望ましいか?」に絞って報告を行った.
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