巻頭言
障害児の就学問題
加倉井 周一
1
1東京都補装具研究所
pp.791
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103868
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小児切断の問題に興味を持つようになってから8~9年が経過した.私達は成人の切断者とは異なる小児切断,とりわけ四肢の先天奇形欠損児の総合的リハビリテーション(あるいはハビリテーション)を目指して,昭和46年よりアメリカのUCLAのクリニックの名にちなんでChild Amputee Prosthetics Project(C.A.P.P. )を発足させ,これまでに100例以上の小児を扱っている.周知のように,小児切断児を扱う際には親の理解・協力を得ることが必須不可欠であり,毎年切断児とその家族と一緒に行う夏期合宿は,私達スタッフにとって大きな意義をもっている.
歳毎に成長していく切断児の元気な姿をみることは喜びと同時に私達の怠慢をいましめる厳しさを感じることもしばしばである.子どもを寝かせつけたあと,切断児の両親と夜遅くまでさまざまなことを語りあかすのを恒例としているが,最初の頃は障害児を生んだあとの母親の悲しみ,失望,恐れ,不安,絶望から,家族内の軋轢,親戚,近所の人達に対する気懸ね,切断児を連れてあちこちの病院めぐり,医師に対する不満,次の子どもの出産に伴う奇形・欠損の再発の心配等が多かったが,最近の話題は子どもの進学,就職結婚など将来に対する問題が多くなってきている.
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