第46回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/静岡 《シンポジウム》地域リハビリテーションのアウトカム―座長/小池 純子・畑野 栄治
広汎性発達障害の早期介入効果を検討するための3つの視点
本田 秀夫
1,2
1横浜市総合リハビリテーションセンター
2横浜市西部地域療育センター
pp.378-379
発行日 2010年6月18日
Published Date 2010/6/18
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はじめに
広汎性発達障害(以下PDD)は,「社会的相互交渉の質的異常」「コミュニケーションの質的異常」および「著しく限局された興味と行動のパターン」という特徴的な症状が乳幼児期から出現し,生涯にわたってさまざまな社会適応上の困難を示す発達障害である.その最も典型的な一群が自閉症である.近年では,従来の意味での自閉症,すなわち定型症状を示して知的障害を伴う群に比べ,アスペルガー症候群のように症状が非定型で知的障害を伴わない群の方がはるかに多いと考えられるようになっている.後者の群こそが,今日的な意味での自閉症対策の中心となる群であり,2005年に施行された発達障害者支援法のねらいもまさにそこにある.
PDDの早期発見および早期介入に対する期待は,国際的にも,そしてわが国においてもますます高まっている.乳幼児健康診査の普及しているわが国では,健診を活用した早期発見を積極的に行い,その後の早期介入へとつなげる先進的な臨床システムを構築している自治体がいくつかある.横浜市もその1つである.しかし,早期介入によってPDDの転帰がどの程度改善するのか,まだ十分なエビデンスはない.今後,早期介入がなされた子どもたちに関する長期的な追跡調査が求められる.
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