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はじめに
人間の発達には運動,言語,知能,社会性,注意,衝動性のコントロールなどさまざまな要素があり,それぞれ生涯発達していく。中には,多因子の先天的,器質的な要因による脳のバリエーションのために,定型発達者とは異なるスピードと道筋で非定型的な発達をし,結果としてアンバランスな発達となる人たちがいる。特に,知的な機能の障害(知的能力障害;ID),社会性の発達の障害(自閉症スペクトラム;ASD)および,不注意,多動,衝動性のコントロールの発達の障害(注意欠如・多動症;ADHD)などは,相互にオーバーラップした状態で,生涯にわたって続く。これらの特性は,定型発達者に連続する多数の人から特性が濃い少数の人にいたる連続体としてとらえられている。現代社会において,こういった発達障害があると,社会適応を阻害し,生きづらさを抱える要因となり得る。一方で,特性を持ちつつもそれをうまく活かして活躍している人もたくさんいる。支援の必要性で障害を定義するならば,社会適応している人を発達障害と診断する必要はない。杉山12)は素因としての特殊な認知特性を持つ群を広く発達凸凹と呼び,本田3)は自閉症スペクトラムの適応群を非障害自閉スペクトラム(autism spectrum without disorder)と呼んで区別している。反面,発達障害があると他のさまざまな精神疾患のハイリスクとなることも知られている。発達障害の特性を持ちつつも,偶然の幸運に頼らずとも二次的な障害を来すことなく社会の中で生きていけるような介入が望まれる。本稿では発達障害のcomorbidityについて概観し,それらに対する早期からの介入について,予防的介入と危機介入とに整理して述べる。
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