巻頭言
広汎性発達障害概念の功罪
井原 裕
1
1獨協医科大学越谷病院こころの診療科
pp.416-417
発行日 2009年5月15日
Published Date 2009/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405101413
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私は,児童精神医学の専門家ではないが,中学生以上の高機能広汎性発達障害(PDD)は自分で診ている。実際,このところ,「自分はアスペルガーではないか」と言って受診する若者がふえた。すでに他の医療機関でアスペルガー障害の診断が下されている場合もある。
専門家に依頼しない理由は,第一に,したくてもできないからである。頼めば,「予約待ち半年」などの返事が返る。思春期を迎えた患者は,焦燥を秘め,衝動性が亢進し,自己破壊傾向もある。とても半年も待てない。早めに治療関係を作って,SOSを受信できる状況を設定しなければならない。
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