第46回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/静岡 《シンポジウム》地域リハビリテーションのアウトカム―座長/小池 純子・畑野 栄治
高次脳機能障害の地域リハビリテーションアウトカム
片桐 伯真
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1聖隷三方原病院リハビリテーション科
pp.373-377
発行日 2010年6月18日
Published Date 2010/6/18
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はじめに
高次脳機能障害については,様々な定義が存在し,以前から広く知られている巣症状としての失語・失行・失認に加え,昨今では若年者に多く認める外傷に伴う前頭葉損傷やびまん性脳損傷が原因で生じた記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害が注目されるようになってきた.これらの障害は日常生活や地域生活をおくる上で問題となるが,医療現場をはじめ,地域社会での認識が乏しく,それらの支援体制は未だ十分整備されていない.今回の対象は学術用語として定義されている高次脳機能障害よりも狭義となるが,2004年に発表された行政的診断としての高次脳機能障害に該当する1)と考えられる方々について検討する.
また地域リハビリテーション(以下,地域リハ)については様々な定義があるが2,3),その中で共通する点として,障害のある人々がそこに住む人々とともに,医療や保健,福祉,教育,職業,社会サービスにかかわる人々や機関・組織が協力し合って行う活動などが挙げられる.そのため,地域リハのアウトカムを考える場合,その帰結は在宅復帰から職業復帰に至るまで幅広く,社会的な背景によっても影響される点では検討が困難である.
ここでは高次脳機能障害の地域リハアウトカムに影響を与える因子を,地域間格差という視点から検討し,現状での課題を提示する.
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