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はじめに
近年,脳の可塑性発現による片麻痺の改善が明らかになっているが1),片麻痺回復を促進するはずの神経筋促通法と総称されるBobath法やBrunnstrom法,Proprioceptive Neuromuscular Facilitation(PNF)は現在までその有効性を示せず,殊にBobath法についてはヨーロッパで無作為化比較試験(RCT)を含む詳細な検討が行われ,麻痺回復を促進する効果はなく,更に,これを用いた訓練量の増加は麻痺の回復促進にはつながらないことが明らかにれている2~4).「脳卒中治療ガイドライン2009」5)でも,神経筋促通法は「行ってもよいが,伝統的なリハビリテーション(以下,リハ)より有効であるという科学的根拠はない」とされている.
神経筋促通法にある異常な筋緊張度の正常化を重視する考え方とは異なり,強い温冷刺激を加えながら片麻痺上肢の運動を求めることによって麻痺と感覚障害が改善すること6),非麻痺側上肢を拘束して麻痺手の使用を増やす拘束運動療法(CI療法:Constraint-induced movement therapy)は多くの試行錯誤を含むが麻痺肢を用いた運動課題の反復と使用頻度の増加によって運動機能を改善することから7),麻痺の改善には患者自身に麻痺肢を意図通りに動かす努力を求めることが必要である.
著者が提唱している促通反復療法は伸張反射や皮膚筋反射を用いて目標の神経路の興奮水準を高めることによって患者が意図した運動(歩行から個々の指の屈伸まで)の実現と反復を可能にしたものである8).促通反復療法の理論と実際の手技,治療成績,更に新たに開発した振動刺激痙縮抑制法について紹介する.
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