特集 脳卒中のリハビリテーション
Ⅶ 外科的治療
片麻痺の機能再建手術
大井 淑雄
1
1東京女子医大整形外科
pp.546-550
発行日 1971年11月9日
Published Date 1971/11/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100522
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はじめに
Cerebrovascular accidentいわゆる脳卒中の後遺症としての片麻痺に対して多くの保存的療法が加えられてきた.すなわち関節拘縮を防ぎ,不全麻痺に陥った筋肉の筋力を強化し,また筋肉の廃用萎縮を防ぐというような目的で行なわれる治療体操Therapeutic Exerciseはこのおもなものである.それに更に日常生活動作Activity of Daily Livingの訓練,作業療法,言語療法,温熱療法,そして心理療法などが加わって片麻痺のリハビリテーションは本邦においてもめざましい進歩を見せている12).
しかしながら辛抱強い理学療法士の治療に抵抗して,また筋肉の力のアンバランスのために関節拘縮や変形をきたす例も少なくない11).
その大部分のものはまず補装具などが試みられかなりの改善をみるであろう.しかしどうしても補装具による療法の限界を超えた症例もあり,また補装具の利用法をより効果的にする目的である場合には手術療法が考えられる.ここに片麻痺に対する手術療法の余地がありしかも機能再建手術は今後増加するであろうからその方法,適応に対して概説を試みたい.
本邦においてもすでに田川10),三島5),小野7)などによって報告されているが諸外国ことにアメリカに比較すればいまだ観察期間も症例数も十分ではないので今後整形外科の課題の1つとして総括される必要があると信じている.
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