第46回 日本リハビリテーション医学会 学術集会/静岡 《教育講演》
リハビリテーション工学による高齢者や障害者の生活行動支援
松尾 清美
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1佐賀大学医学部附属地域医療科学教育研究センター福祉健康科学部門
pp.42-46
発行日 2010年1月18日
Published Date 2010/1/18
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はじめに
介護保険では,要介護度が4~5の方で立って歩けないと介護が必要となったといわれる.しかし,リハビリテーション(以下,リハ)工学を学んだ人は,立って移動できなければ身体や生活方法に適合した車いすを使って移動方法や移乗方法を確保すれば,寝たきりにならずに自立(律)生活で人生を楽しめる方法を知っている(図1).
工学(エンジニアリング)はものづくりの学問であり,医学と同様に,図2に示すように様々なエンジニアリングに分科されて発展してきている.リハ工学とは,「一人ひとりのリハ(全人的復権)を支え,豊かな人生を実現するため,工学的技術を活用して道具や機器,住環境,社会環境,教育,システムなどを改善あるいは開発して,個別に適用を図るための支援技術とシステム」のことである(図3).生活行動支援における自立(律)生活とは,本人が「自分ですること」と「やってもらうこと」を明確にし,「自分でできることは,道具や生活環境を使ってでも自分で行う=自立」「自分ではできないことは,自分がやってもらいたい方法で介助者をコントロールして介助してもらう=自律」という考え方で生活行動を構築し,責任を果たしながら生きる権利を行使した人生を送る支援をすることである.
個々の自立(律)生活行動支援を成功させるには,下記の5項目が重要である.ここでは,これまでに開発した機器や環境を交え,リハ工学における支援技術と自立(律)生活の考え方を伝え,自立(律)生活事例を報告する.
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