第2回 リハビリテーション科専門医会 学術集会/札幌 《シンポジウム》脳性麻痺の訓練治療のあり方-ガイドライン委員会の報告を踏まえて-
脳性麻痺訓練のEBMと現状
朝貝 芳美
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1信濃医療福祉センターリハビリテーション科
pp.571-575
発行日 2008年9月18日
Published Date 2008/9/18
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はじめに
脳性麻痺児に対する運動療法に関しては適応,時期,方法,頻度など共通の認識が得られていない.その他,痙性麻痺に対する歩行訓練は痙性を高める? 立位,座位保持などを積極的に行うと股関節脱臼や脊柱側弯を増悪する? などの疑問に対しても統一見解が得られていない.
これまで全国肢体不自由児施設62施設では,1999年から6年間厚生労働科学研究を実施し脳性麻痺児の訓練治療のあり方について検討してきた.その結果,共通の認識が得られにくい理由として,児の変化を適切に評価できる共通の評価法がなかったこと,様々な訓練方法が比較検討されることなく実施されてきたこと,訓練効果に影響を及ぼす因子が年齢,障害重症度,筋緊張の程度,痙攣発作などの合併症の重症度および数,訓練士の経験年数,知的障害などの児の状況や家庭状況など広範囲にわたること,児の運動能力の予後予測が不十分であったこと,麻痺(痙縮,アテトーゼ,失調など)を抑制する治療法が不十分で運動療法の効果を上げにくかったこと,ランダム化比較試験などの研究デザインが実施しにくいなどの理由が明らかになった.
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