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編集後記
藤田 郁代
pp.142
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200282
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2020年の春は百年に一度経験するような感染症COVID-19との戦いで始まった.この感染症は2019年11月に中国の武漢市で最初の症例が確認されて以来,世界的に流行し,WHOは3月11日にパンデミックとの認識を表明している.わが国では,2020年2月にクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号の乗客に感染を認め,その後,国内でも感染者が急増した.4月7日には政府より緊急事態宣言が発令され,人々は3密を避けた苦しい自粛生活を続けてきた.5月中旬には緊急事態宣言の緩和が全国各地で始まったが,この感染症との戦いはしばらく続きそうである.
以前に経験したことがない難局を乗り越えるときに,その国の人々の本来の力が試される.その1つは危機を乗り越えるための人々の結束力であり,結束の要となるのはコミュニケーションである.このようなときには根拠を示して透明な情報を迅速に出力し,それを共有して対処法を考えることが重要である.言語聴覚障害がある人々が複雑に変化する情報にどのように対処しているか,非常に懸念されるところである.3密を避けることは必要であるが,今こそ言語聴覚士や会話支援者は言語聴覚障害がある人の情報格差の問題に向き合い,その解消に努める必要がある.
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