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編集後記
藤田 郁代
pp.291
発行日 2015年12月15日
Published Date 2015/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200065
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今号には,第6回言語聴覚研究優秀論文賞を受賞された深水峰子氏の随想が掲載されています.本賞は(社)日本言語聴覚士協会における研究活動推進事業の一環として,特に若手研究者の研究活動を奨励し,優れた研究成果を表彰するために設けられました.受賞対象となるのは筆頭著者が40歳未満で,過去2年間に本誌に掲載された原著論文です.この賞は2010年に設置され,これまでに6名の方が受賞されています.どの受賞者もその後,学会で演題発表を活発になされ,論文執筆も継続されており,その姿を拝見するたびに心強く思っています.
言語聴覚障害学分野は,20〜30歳代の言語聴覚士が75%を占め,年齢分布が若年層に偏っています.これは国家資格が1997年に成立し,その後,養成校が急激に増えたことによります.それから約18年が経過し,今やその養成校を卒業した方々が本分野の中核を担うようになってきましたが,このような方々の臨床・研究活動について少し気になることがあります.それは,わが国の言語聴覚士は諸外国の言語聴覚士と比較して,研究への取り組みが少ないことです.これは研究技能を修得する大学院への進学率の低さにも現れています.わが国でも看護学分野では大学卒業者の約2割が大学院に進学するといわれますが,本分野の大学院進学率はまだ高くありません.また学術専門誌への投稿論文数も少ないのが現状です.臨床の質の向上には研究との融合が欠かせません.本誌の優秀論文賞が若手研究者の研究活動の活発化につながることを期待したいと思います.
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