- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
2月20日といえば例年ならば厳しい寒さが続く頃ですが,今年は春のような暖かい日が多く,那須の山頂に雪は申し訳程度にしか載っていません.このような傾向はこの冬だけのものではなく,ここ数年栃木県北部でも市街地に積雪を見ることは稀となってきました.この冬はまだ一度も積雪がなく,地球環境の変化は身近なところでも刻々と進んでいることを実感しています.本誌がお手許に届く頃にはすでに桜は散っているかもしれません.
さて,今号は原著論文1編,金沢における第7回日本言語聴覚学会の講演,シンポジウム,レポートをお送りします.講演はノーマライゼーションと人権に関するもので,言語聴覚療法の根幹にある職業倫理について深く考える機会を与えてくれるものと思います.原著論文とシンポジウムはいずれも小児のコミュニケーション障害に関するものです.原著論文は高機能自閉症とアスペルガー障害の認知特徴を独自の視点から分析し,興味深い知見が述べられています.シンポジウムでは言語聴覚障害がある小児に対し言語聴覚士には何ができるかを成長期にそって各著者が論じています.小児臨床では対象者が将来どのようなライフスタイルを選択できるようになるかを常に考え,長いスパンで支援することが必要ですが,制度的な問題や言語聴覚士の専門性への理解不足などから,現在でも言語聴覚障害がある小児を支援するチームに言語聴覚士は十分入りきれていません.コミュニケーションは生活機能のひとつであり,生活に視点をおいた支援では言語聴覚士を含むチーム連携が不可欠です.各論文はさまざまなチームに言語聴覚士が参加することによっていかに大きな変化が生まれるかを具体的に述べており,今後の小児臨床の方向性が示されています.
Copyright © 2007, Japanese Association of Speech-Language-Hearing Therapists. All rights reserved.