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編集後記
藤田 郁代
pp.70
発行日 2011年3月15日
Published Date 2011/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001100280
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昨年末から今年の初めにかけて例年にない厳しい寒さが続きましたが,季節は巡り,日の光や草木の芽吹きに春の兆しが感じられるようになってきました.本日(2月19日)は言語聴覚士国家試験が実施されます.4月には難関を突破し,晴れて言語聴覚士の免許を手にした新人たちが全国各地の現場に入っていくことになります.少子高齢化が進行する中で,言語聴覚療法を取り巻く環境は急激に変化してきていますが,「患者さんを中心に論拠に基づき最善の言語聴覚療法を提供する」という臨床理念は普遍的です.新しく現場に入った方々が環境に柔軟に適応しつつ,理念を具現する人材に育っていただきたいと思います.
さて,本号では「言語聴覚士養成教育の質の向上をめざして」が特集となっていますが,これは昨年の第11回日本言語聴覚学会のシンポジウムの講演をまとめたものです.藤田論文では教育の質の向上にはモデル・コア・カリキュラムの作成が重要であることが指摘され,大西論文では臨床実習の改善に向けた新しい取り組みが解説されています.小山論文では看護教育の現状と課題が紹介され,三浦論文では人材養成の核となる理念が解説されています.言語聴覚士養成においては量(ST数)の充実は着々と進んできましたが,質のさらなる充実が大きな課題になっています.これまで教育の質の充実は各養成校の独自の努力に任されていましたが,養成教育が本格的に始まってから十数年が経過した現在,分野全体での取り組みが期待されており,本特集は時宜を得たものと思います.
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