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編集後記
藤田 郁代
pp.57
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.6001200077
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今号には,第16回日本言語聴覚学会(会長 遠藤佳子先生,仙台市)において開催されたシンポジウム「認知症に対する様々な言語聴覚療法—保健・医療・福祉における実践と展望」の講演が掲載されています.
わが国では人口の高齢化に伴い認知症患者の増加が著しく,2012年の調査によると認知症患者は462万人,軽度認知障害(mild cognitive impairment)患者は400万人に達すると推計されています.このような状況への対策として政府は2015年に認知症に対する総合戦略として「新オレンジプラン」(2015年)を公表し,医療・福祉・介護の充実に向けた基盤整備を進めています.認知症にはアルツハイマー病,レビー小体型認知症,前頭側頭葉変性症,脳血管性認知症,運動ニューロン疾患に伴う認知症など多彩なタイプが存在し,それぞれ異なる対応を必要とします.認知症の診断には米国精神医学会の基準がよく用いられますが,この基準は2013年にDSM-5として改訂されました.今回の改訂では認知症という用語が消え,神経認知障害(neurocognitive disorder:NCD)が導入され,10個以上のサブタイプに分類されることになりました.この改訂は近年の認知症研究の成果を反映したものになっています.認知症の病態や治療に関する研究の著しい進歩は診断だけでなく,ケア・リハビリテーションにも変化をもたらしています.
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